日本たべもの総覧

日本たべもの総覧(10)

八杯豆腐【はちはいどうふ】

鍋に出汁を煮立て、水溶き片栗粉をいれてとろみがついたところへ、うどん位の太さに細長く切った豆腐を入れ、塩・醤油・酒で味を整え、豆腐が浮いてきたら椀に取り、葱やもみのりをのせて食べる。昔、水四杯、酒二杯、醤油二杯の割で調味したので八杯という。また豆腐が大きくて八人前とれたからともいう。

餡掛け豆腐【あんかけどうふ】

豆腐の代表的な料理。大きめに切った豆腐をたっぷりの昆布出汁で静かに茹で、中まであたたまったらすくい上げて器に盛り、あんをかけておろし生姜、葱などの薬味を添える。あんは2人前で一番だし1カップ、醤油3分の1カップを煮立て、水溶き葛大さじ1.5杯でとろみをつける。

煮抜き豆腐【にぬきどうふ】

豆腐を切らないまま昆布出汁で煮込む。昆布の淡い塩味がしみこんだものを卸し生姜などで食べる。熱湯の中で茹でるのでスが入るところから「す立ち豆腐」ともいう。もともと僧院で行われた調理法であるといわれている。煮抜きとは熱湯で茹でる意で、煮抜き玉子とはゆで玉子のことである。

空也豆腐【くうやどうふ】

空也蒸しともいう。四角に切った豆腐をくずさないように蓋付きの丼に入れ、玉子と出汁をかきまぜたものを上からかけて蒸し上げ、くずあんをかけて熱いうちに食べる。季節によって貝柱やとりそぼろなどを加えてもよい。空也念仏が流行した平安時代に考案されたといわれる。

凍豆腐【こおりどうふ】

凍み豆腐ともいう。もともと紀州高野山で作られたので「高野豆腐」ともいう。豆乳を煮立てないで作った豆腐を天然のものは冬の晴れた夜に戸外で凍らせ、よく凍ったら陽に当てて乾かす。現在は冷凍室内で冷風にさらして量産している。栄養価の高い食品で、調理法は普通熱湯で浸してもどし、薄味で煮含める。乾いたままのものを両面こんがりと焼き、焼き上がったら薄味の汁へ入れ、取り出して海苔などをかけて食べる方法もある。

田楽豆腐【でんがくどうふ】

単に田楽ともいう。長方形に切った豆腐に一本(江戸風)または二本(京都風)の竹串を刺して木の芽味噌を塗って焼いたもの。上手に焼くには串を刺した豆腐をまず表からさっと焼き、焦げ目がほんのりつく程度にあぶって裏に返し、焼けた表に味噌を塗りつけ、裏が焼けたらもう一度返して、味噌の表を焼き、香ばしい香りを立たせる。材料は豆腐以外にもこんにゃく、茄子などを用いる。田楽の名は、昔田植えの時に豊作を祈って雅楽を舞う法師がいて、その姿形(さぎ足の曲)に似ているからつけられたという。

雁擬き【がんもどき】

雁の肉に味を似せた油揚げの一種。豆腐をくずして水気を取り、繊切りのごぼう、にんじん、きくらげ、糸昆布、胡麻、麻の実などを加えて丸め、油で揚げたものである。上等なものにするにはぎんなん、百合根などを入れ、おろした山芋をつなぎに加える。山芋の代わりにおろした慈姑を入れる「ひりゅうずくわい」がある。京阪では飛龍頭(ひりゅうず)という。

参考資料「日本たべもの百科」新人物往来社刊

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