日本たべもの総覧

日本たべもの総覧(8)

洗い【あらい】

魚の生肉を冷水で洗って食べる夏向きの刺身の一つ。鯛・鱸・鯉・海老などを主とし、土佐醤油や生姜醤油、酢味噌等で食べる。生きた魚や海老を上身にして薄造りそぎ身にし、清水や氷を入れた冷水で洗うと身がちりちりにと縮む。水気を切って賞味するが、洗いすぎると脂が落ちる。また蛸などと同様に温湯で洗ってから冷水にとる場合もあるので湯洗いともいう。

焼物【やきもの】

焼き魚

魚や肉、野菜類を火を使って焼いて食べる調理法で、大別すると直火焼きと間接焼きとがある。直火焼きには串焼きと網焼きがあり、調理別には塩焼き、照焼き(タレを使った付け焼き、掛け焼き、蒲焼きなど)があり、焼いてから味をつける田楽、黄身焼き、雲丹焼きなどのほかに、味噌漬け、粕漬け、麹漬け等の漬け床や柚庵地などに漬けてから焼く方法がある。間接焼きには器を使う焙烙焼き、壷焼き、竹焼き、紙焼き、銀紙(ホイル)焼き、鍋やフライパンで焼く玉子焼き、オイル焼き、バター焼き、テンピで焼く杉板焼き、けんちん焼き、のし鳥などのほか、塩釜焼き、石焼き、陶板焼きなどいろいろな焼物がある。

煮物【にもの】

煮物

水または調味した汁で材料を煮て食べる加熱料理法。煮汁の多いものと少ないもの、味の濃いものと薄いもの、材料を焼いてから煮るものと油で揚げてから煮るもの、短時間で煮るもの、時間をかけて煮込むもの、色をつけて煮るものとつけないで煮るものなど調理法の中で最も種類が多い。材料の持ち味や色、鮮度に合った方法で煮ることが肝要とされる。煮汁の多い含ませ煮、つけ煮、白煮、煮汁の少ない照り煮、艶煮、煮染め、旨煮、直煮、煮る前に加熱する炒め煮、揚げ煮(オランダ煮)、炒り煮などのほか、煮つけ、あら煮、時雨煮、味噌煮、柔らか煮、酢煮、芝煮、沢煮、色煮、おろし煮、治部煮、黄身煮、吉野煮、胡麻煮、飴煮(甘露煮)、煮浸しなど多種類がある。飯を炊くにしても、近年は一般家庭でも自動で炊ける電気釜、ガス釜が主になったが、昔はまきや炭等を使ったために火加減が難しかったものである。

香の物【こうのもの】

昔は香の物といえば味噌漬けをさしたといわれるが、現在は漬物一般をさして呼んでいる。一夜漬けから古漬けまである。漬物はもともと野菜の貯蔵法として塩漬けから始まったが、ほかに糠漬け、味噌漬け、粕漬け、味醂漬け、辛子漬け、酢漬け、梅酢漬け、砂糖漬けなどがある。漬物の多くはその酵素作用によってデンプンを糖に、タンパク質はアミノ酸に分解されて旨味を生じる。さらに食塩によって他の雑菌が減る代わりに乳酸菌が繁殖し、乳酸菌によってつくられた乳酸は有害菌の繁殖を阻止して酸味が生じる。漬物に使用する塩は精製塩より並塩がよい。

蒲鉾【かまぼこ】

蒲鉾

魚肉をすり潰して塩などの調味料を加え、熱を加えて固めた練り製品である。当初は魚のすり肉を細竹に塗って焼いたもので、今の竹輪に芯のある形であった。それが蒲(がま)の穂に似ているところからこの名がついたという。現在のように板につけたのは桃山時代からで、蒸しかまぼこは江戸時代に作られた。最初の材料はナマズであったが、ハモをへてタラ、グチ、エソ等の魚が用いられるようになった。

参考資料「日本たべもの百科」新人物往来社刊

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