全国うまいもの

石川県

【県庁所在地】金沢市【地方】中部地方
【人口】1,162,587人(2012年4月1日現在)
【特産品】いしり、ずわいがに、ふぐの糠漬け、くちこ
【県花】クロユリ【県鳥】イヌワシ
【県木】アテ

日本海側の北陸地方に位置する県。南北に細長く日本海に突き出た能登半島と南東部の加賀平野からなる。江戸時代より学問や文芸を奨励したことから、城下町の金沢を中心に伝統文化が興隆し今に受け継がれている。能楽の加賀宝生、織物の加賀友禅、蒔絵を施した金沢漆器、その他輪島塗、九谷焼など芸術性の高い伝統技術が継承されている。観光では兼六園、金沢城公園、金沢21世紀美術館、輪島朝市などが有名。

石川県

かぶら寿し【かぶらずし】

伝統の金沢の味

金沢の冬の風物詩だった「かぶら寿し」を作る風景も、今日ではあまり目にすることができなくなった。以前は各自の家庭でつくったり、料理屋や旅館でも自家製の自慢の一品を出したものだ。この名の由来は、江戸時代、城下の魚屋が自分で考案したものを御歳暮として武家屋敷に届けたことがことの始まりとされる。

かぶら寿しは、塩漬けしたブリをかぶらの間にはさんで米麹に漬けたもの。使うかぶらは首半分が緑色をしている青かぶら。このかぶらを2〜3枚に輪切りにし、5日ほど塩漬けにする。ブリは三枚におろしたあと、厚さ7〜8cmに切る。それを平たく2つに割ったかぶらの間にはさみ込み、米麹に漬ける。さらに、彩りをつけるため、刻んだ梅花二ンジンと赤唐辛子を入れて桶に詰める。重石をして水が上がったところで汁切りをして保存する。

糀とかぶら、それにブリの味が見事にとけあっていて、赤唐辛子が味をひきたてる。シーズンは10月〜3月まで。

【お問い合わせ】

かぶら寿し本舗 かばた 〒921-8031 石川県金沢市野町5-12-18
[TEL]076-241-2662 [FAX]076-243-6456 [HP]http://www.kabata.co.jp/

いしり【いしり】

野趣豊かな醤油

「いしり」とは“烏賊汁”と書く。イカのゴロ(内臓)をもとにしてつくった魚醤醢(うおびしお)で一種の醤油で、能登半島に伝わる古来の野趣をそのまま残した独特の一品。

作り方は、いたって簡単。まず、大量のイカのゴロを大樽に投げ込み、粗塩をまぶしてよくかき混ぜる。仕込みは毎年秋から冬にかけてする。翌年の秋に発酵した原液を釜に移し、強火で煮る。これは雑菌を殺す作用もあるが、味をひきしめる役目も果たす。あとは、7〜10日間ねかせると無添加の天然調味料の誕生だ。

一般の醤油は植物性アミノ酸醤油(くさびしお)だが、いしりは動物性アミノ酸醤油(うおびしお=ぎょしょう)だ。その味は一般の醤油とはかなり違う。匂いと味はちょうどサザエの壷焼きの最後の汁に近い。秋田のしょっつる(塩汁)、讃岐地方のイカナゴ醤油も魚醤だ。

刺身のつけ汁、野菜の漬物にかけてもよくあう。魚、野菜、豆腐などを入れた鍋料理の味付けにもよい。季節の魚をいしりに漬けて干した「いしり干し」もある。

【お問い合わせ】

杉喜水産 〒926-0042 石川県七尾市作事町57
[TEL]0765-53-0582

くちこ【くちこ】

珍味中の珍味

「くちこ」というのは、ナマコの卵巣をいくつも集めて陰干しし、一枚にしたもの。大変な珍味で食通にもてはやされ一段と貴重品となり、かなり高値をよんでいる。この「くちこ」は、大正末期に穴水町出身の小泉昇造という人が考案したとされている。

卵子を抱えたナマコが揚がってくるのは2月の寒い時期だ。そのナマコの腹を割き、卵巣を取り出して広げると帯状に近いものになる、広げられた卵巣は、細いわら縄に一本一本ぶら下げて7〜8日間陰干しにする。雨や強い日差しに当てないよう十分注意する。干し上がったくちこは、正三角形のものもあれば大きさといい、形といい三味線のバチそっくりなものもあり、アメ色で少し透き通る。日が経つと褐色になるが風味には影響がない。

弱火でサツとあぶって細かく割いて食べる。かみしめると何とも言えない味だ。すりつぶして酢の物。日本酒の肴に最高。

【お問い合わせ】

株式会社かねしげ 〒926-0171 石川県七尾市石崎町ニ部94
[TEL]0767-62-2640 [FAX]0767-62-4502 [HP]http://kaneshige.co.jp/

ごり佃煮【ごりつくだに】

甘辛の佃煮

「ゴリ」とは面白い名前で“鮴”と書き、カジカの仲間である。また、金沢のことばで「にぶい」という意味もあるが動きはなかなか速い。体長は6〜10cmの小魚で川底の石にじっと潜んでいる。以前は、金沢市内を流れる川でも獲れたが、今は上流まで足をのばさないと数多くは獲れなくなった。

近岡屋(金沢市野町3-2-21)では金沢市の北にある河北潟で獲れる小振りのカタゴリを佃煮の材料にしている。カジカは体が大きいせいか味がしみにくく佃煮向きではない。

まずトロ火で白焼きをしたあと、醤油・砂糖・アメ・塩などでつくったタレに入れて煮たてる。約1時問煮詰めると甘辛のゴリの佃煮が出来上がる。薪火を使って煮込むので身のやわらかい上品な味に仕上がっている。他に、クルミの飴煮、川エビやフグの糠漬けなどがある。

【お問い合わせ】

株式会社 味の近岡屋 〒921-8031 石川県金沢市野町3-2-31
[TEL]076-242-3388 [FAX]076-242-3389 [HP]http://www.tikaokaya.co.jp/frame.htm

いわな佃煮【いわなつくだに】

丸ごと骨まで食べられる

イワナ(岩魚)は渓流の上流地域にある岩陰や激流の渕の下に棲む美しい魚である。もともとは海に棲むアメマスが産卵のため海からのぽってきたもののなかで、そのまま川に棲みついてしまったのがイワナだ。「いわな佃煮」は、石川県は白山の、血もとの辰口で獲れたイワナを独特の方法で作り上げたもの。

まず、イワナを丸ごと素焼きにするが、これは煮るときに姿の形くずれを防ぐため。焼き上がったイワナを醤油・味醂・砂糖で一昼夜かけてじっくり煮込む。深い飴色に仕上がったイワナの姿は実にすばらしい。シンまで味がしみこんでいるからやわらかく骨まで食べられる。焼いたイワナに熱燗を注ぐ“骨酒”は左党のあこがれ。この骨酒を家庭でも味わえるのが「爛酒魚」。イワナを焼いて乾かし、粉末にしたもので、熱燗をかけるとイワナの芳醇な香りがただよう。他にイワナ昆布巻きもある。

【お問い合わせ】

いわなや 〒923-1213 石川県能美市坪野町ホ36
[TEL]0761-51-2575

参考資料「名産・珍味全国うまいもの」富士書店刊

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