今月の絵献立

「月鍋 霜月の献立」参与 下川貞造(銀鱗荘)

御迎の肴
  • 自家製の唐墨を作ります。鮮度の良いボラの子を用意し、血合をしごき出して針打ちをし、さらに水洗いして血抜きをします。流水に90分さらした後、板に挟み、90分重石をして絞り、水気を切ります。この作業を5回、繰り返します。このとき塗りの丸箸を使うと、皮が破けずに血抜きできます。一晩ベタ塩にしたら水洗いし、焼酎1升、味醂1合、淡口醤油1合に2日間漬けて充分に絞り、干しあげます。薄切りのいぶりがっこは天衣で揚げておき、先の唐墨と共にあぶり供します。
先八寸
  • 海鼠(なまこ)は腹を割き、掃除しておきます。酢3、酒1、味醂1、薄口醤油1、上白糖1、水8の合わせ酢を作り、90℃にしてカメに入れておき、霜降りした海鼠を冷やさずに入れ、蓋をして5時問おくと柔らかくなります。新しい合せ酢に漬けて切り出し、卸し大和芋を掛けます。
  • 高麗人参は、良く洗って水気を切って紛を打ち、卵白・芥子の実をつけてサラダ油で揚げます。極き軽く、砂糖をふります。
  • 黒鮑は、洗い上げ圧力鍋で昆布・酒・水で40分炊きます。白玉味噌に裏漉しした腸を合わせかけます。
  • 絞り豆腐裏漉しして、砂糖・塩・薄口醤油・当り胡麻・生クリーム・レモン汁を加えて衣を作り、茹で車海老、炒り松の実、レーズンを合え、最中の皮を使って供します。
  • 煮凝りは、出汁600cc、寒天2本、板ゼラチン3枚を煮溶かし、たまり醤油・赤ワインで味を調えます。鮟肝は良く水にさらして血を抜き、3%の塩水に1時間漬けて酒で洗い、20分蒸して冷やしておきます。流し缶に煮凝りの地を流し、鮫肝を適量入れて、何回かに分けて冷し固めます。
椀盛
  • 白菜は葉は別に取り、白い部分を網焼きにします。白玉粉に茹で卵の黄身を良く混ぜて、昆布出汁を加えます。蟹身、蟹味噌を合わせたものを白玉で包み、火を入れます。出汁、焼いた白菜をミキサーにかけ、薄葛を引きます。
造り
  • 小鯵は頭を落とし、ヒレ、ゼイゴを落とし、腹を洗い、小口から薄く背越しとし、氷水で洗います。必ず活けを使用します。目一鯛は、水洗いした後、三枚におろして皮をひき、そぎ身として盛りつけます。
蒸し物
  • 伊勢海老のアラを霜降りし、昆布・酒・水を加え、30分煮出し、仕上げに、マグロ節を入れて漉します。溶き卵と合わせ、塩・薄口醤油・少々の味醂で味をつけます。伊勢海老の身は、一口大に庖丁し、薄塩をして茶碗蒸しにします。蛤は、昆布酒・水で酒蒸しとし、身は、開いて腹をとり、小口に切ります。蛤の出汁は味を調えて、豆鼓(ドウチ)を加え、餡とします。
焼物
  • 真名鰹は水洗いした後、三枚におろし、薄塩して幽庵漬にします。柿の種は細かく叩き、先の真名鰹につけて焼き上げます。帆立貝柱は、昆布湯で湯〆とし、幽庵汁に20分程漬けて焼きます。一方、ムキ栗は茹でて下煮します。荒い目の金漉しをして帆立にのせ、焼目をつけて焼きます。榎木茸は、根を切ってバラし、少し風をあてた後、素揚げにして塩をします。
煮物替り
  • 月鍋は、月の輪熊を使った鍋です。野菜は九条葱、又は白葱を笹切りし、水洗いしておきます。黄ニラ、長芹、人参、ヒマラヤ平茸等を用意します。
  • 月の輪熊ロース薄切り、特に脂が多いところを使用します。玄米餅は焼いて入れます。鍋出汁は、出汁15、酒1、味醂1、薄口醤油1、白出汁で調整します。
食事
  • 鍋の出汁に、固めに茹でた素麺を入れ、網茸を加えて煮ます。
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